(24日、第107回全国高校野球選手権北北海道大会北見地区1回戦 遠軽9―1北見緑陵 7回コールド)
「もっと自分のことを信じてミットに向かって投げてこい」
伊勢谷将永投手(3年)はピンチを招くたび、そう捕手の菅原悠斗主将(3年)に声をかけられた。焦っている胸を、ミットでぽんぽん、とたたかれながら。
本来なら本塁上に強い球を迷いなく投げ、伸びのある直球が武器。しかし、今日は力みが抜けなかった。
1年生の冬、腰に痛みを感じた。2年生の春、検査を受けると、腰椎(ようつい)分離症と診断された。それから1年間、投げることができなかった。
「これが最後の大会。腰の状態は問題ない。練習してきたことを全部出し切る」
この試合にかける強い気持ちが、投球の力みにつながったのか。
139球を投げ、9四死球、8被安打。押し出しもあり、「試合を崩してしまった。もっと楽に力を抜いて投げていれば……」と、目を潤ませた。